保険店舗[来店型保険ショップ]出現の背景
(1)金融自由化のメリット (2)集客と販売との分離(1)金融自由化のメリット
自由化前の日本の保険業界は
(1)新しい保険会社は事実上認められなかった。
(2)保険商品は名称やニックネームが違うだけで各生命保険会社同じ
(3)保険料や配当金はどの生命保険会社も同じ
(4)保険代理店はどこか一つの保険会社の商品しか扱えない
生命保険業界競争のない業界だったのです。どの会社から誰から保険にはいってもみんな同じ。旧大蔵省が保険会社にそのように命じていたのです。だから生命保険商品を比較したり選んだりする必要がなかったのです。どれも同じですから、義理のある知り合いの生保レディにお願いすればよかったのです。義理と人情とプレゼントとで生保レディにお願いすればよかったのです。
1996年の金融自由化が始まりました。同時にIT革命が進み様々な保険の開発ができるようになりました。
金融自由化で保険業法の改正され、新しい保険会社が営業を開始し、保険会社は保険商品を自由に開発できるようになり、保険料も自由に決められ、保険代理店は幾つもの保険会社の商品を販売できるようになりました。
これで保険商品の比較ができるようになったのです。つまり安い保険・特徴のある保険が出てきたのです。
金融自由化は保険会社間の競争を促しました。そして「安くていい保険」が次々生まれることになったのです。これにより消費者がメリットを受けることになったのです。
ただ日本生命やソニー生命のように従来からの大きな保険会社は一社当たり何万人何千人ものセールスレディや営業マンを抱えており、その仕組みで生命保険販売を続けなくてはいけません。だから昔のままの義理と人情とプレゼント営業を続けています。そこではその保険会社の商品しか販売できませんから生命保険の比較は困難です。
安くていい保険を比較し選ぶことは、金融自由化とIT革命のメリットを得ることです。そのためには複数の生命保険会社の商品を比較し自分で納得してそこから選ぶことです。
(2)集客販売分離

住宅メーカーなら住宅展示場に来た人が見込み客です。その見込み客に営業マンが営業します。大手企業ならどの業界でも集客つまり見込み客作りは会社の仕事です。
生命保険業界は違います。見込み客はセールスレディや保険営業マンが自分の力で探しだします。集客から自分でやるのです。だから最初は親戚友人知人を見込み客として生命保険を販売するのです。
見込み客が尽きて保険が売れなくなれば、つまり集客ができなければ保険会社は簡単にクビにします。
生命保険業界で生き残れる人は親戚友人知人以外の集客つまり見込み客発掘を続けられる人です。つまり紹介や飛び込み営業で、顧客の新規開拓を続けられる人です。
保険営業の世界では7割とか8割の労力を顧客の新規開拓に振り向けないといけません。そうしないと生き残れません。保険の販売をする労力は残りの3割とか2割だけです。
顧客から見ればおかしなことです。
保険業界で生き残る人は「いい販売ができる人」ではなく「いい集客ができる人」なのです。顧客が求めるのは「いい集客ができる人」ではなく「いい販売ができる人」です。
顧客が求めるのは「いい集客ができる人」のように知り合いから紹介してもらって見込み客を増やす人ではなく、「いい販売ができる人」つまり保険相談ができたり生命保険のコンサルティングやしっかりしたライフプラン設計ができる人です。
「いい販売ができる人」であっても集客ができない人はクビとなる業界なのです。
保険店舗が一般化して、この構造が変わろうとしています。保険店舗は住宅メーカーの住宅展示場なのです。顧客の方がやってきます。その顧客相手に「いい販売」をすればいいのです。「いい集客」は不要で「いい販売」だけのキャリアを積む人があらわれたのです。
顧客からは「いい集客ができる人」である必要はなく「いい販売ができる人」であればいいのです。労力の全てを「いい販売」につぎ込むのですから、それを繰り返し経験を踏んでどんどん「いい販売」ができるようになります。更に「いい販売ができる人」が保険ショップに集まるようになります。
保険店舗つまり来店型保険ショップには保険会社の保険セールスレディや保険営業マンのような厳しいノルマがありませんし、完全歩合ということもありません。だから血眼になってお客さんを追いかけるということもありません。保険店舗・保険ショップ側も「しつこい」という評判が立つことを望みません。
これまでの保険業界は集客を続けられる人だけが生き残り、例え卓越した提案販売能力があっても集客が苦手ならクビです。
保険店舗・来店型保険ショップ業態は「集客」と「販売」の分離に成功したのです。客が勝手に来ます。集客が苦手でも活躍できる業態です。さらに複数の保険会社を扱えるので、最後は顧客が商品を選びます。集客不要で多くの接客数をこなすので販売能力向上が容易な業態です。
だから消費者から見れば気楽に生命保険の相談をできる場なのです。